本当は恐ろしい? 国語の教科書 [2009年4月10日]

教室長をしていたとき、生徒の教科書を見て、時代を感じた思い出をひとつ。
平家物語です。

現在の中学生の国語の教科書を見ていると、こんな話が載っています。

指右源平の合戦のさなかの出来事。
日が暮れて両軍が兵を引きかけている時、沖の平家軍から女の人を乗せた小舟がやってきました。
みると、金赤地に赤のマルが書かれた扇を竿の先につけて、陸の源氏に向かってなにやら合図をしています。


「この扇の的を打ってみろ!」

という一種の挑発です。
子供っぽい言い方をすれば


「やーい、へたっぴぃ。

この的に矢を当てられるか?やーい。

当てらんねぇだろー。」


って感じですかね。

これを見た源氏側は、弓の名手・那須与一をつれてきます。
那須与一は敵味方大量のギャラリーの中で、
「かぶら矢」を放ち、結果は見事命中。


両軍とも敵味方なく

「おぉーすげぇ!」

とどよめいて、那須与一を褒め称える・・そんな話です。

ダーツこれを古典で読むと、本当に描写がきれいなんですよね。
沖には平家、陸には源氏が居並ぶようすや、金色の扇が空にパッと舞い上がって、夕暮れの海に落ちていくさまだとか。
ハリウッドあたりで誰か映画にしてくれないかしら?

『ラスト・サムライ』よりすごいかもよ!・・なんて話を生徒としたものです。ダーツ

 


危険・警告ただ、この話、実はまだ続きがあるんです。
私が中学生のときは、この続きも教科書に載っていました。

でも現在は教科書からカットされています。

・・あんまり見事に那須与一が矢を射たので、平家軍の船から一人の老人が出てきて舞を舞います。
「よくぞやった!敵ながらあっぱれ!」というわけです。
それを見た那須与一は、今度は攻撃用の矢に持ち替えて、この老人を一撃で射倒してしまうのです。
うって変わった残虐な様子に、平家軍はしずまり帰り、源氏軍はまた「おぉ~!やった!」と盛り上がる。
この行動については「心無いことを」という人もいれば「よくやった」という者もおり、さまざまであった・・。

こんな終わり方です。

なんとなく、現代の教科書からカットされた理由は分かるような気がします。最近の傾向ですよね。

カットについての感想はともかく、

以前の教科書に掲載されていた「続きあり」バージョンのほうが

前半の
「戦の中でも風流(?)な当時の人々」

というなんだか雅やかな雰囲気と、
後半の
「いかにも戦場」

な部分が一瞬で移り変わる、平家物語の威力みたいなものを感じます。

高校生になって「平家物語」の他の部分を読む機会があったら、そんなことも思い出してみてね、なんて生徒には言っておりました。


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